
いまのファクタリング会社の手数料が高い。担当者と話が合わない。別の会社も使ってみたい。
こうした理由で乗り換えや併用を考えたとき、最初に気になるのが「他社を使っていることが知られるのか」「そもそも許されるのか」という点だと思います。
結論から言えば、他社利用中であること自体は何の問題もありません。ただし1つだけ、絶対に避けなければならない行為があります。この記事ではその線引きと、乗り換えの実務を整理します。

できること・できないこと
| 項目 | 可否 | 補足 |
|---|---|---|
| 他社利用中に別の会社へ申し込む | ✅ 可能 | 法的な制限はない |
| 複数社を同時に利用する | ✅ 可能 | 債権ごとに分けて管理することが前提 |
| 異なる売掛債権を別々の会社に譲渡する | ✅ 可能 | 通常の取引 |
| 同じ売掛債権を複数社に譲渡する | ❌ 厳禁 | 二重譲渡。刑事責任を問われる可能性がある |
| 審査を受けずに乗り換える | ❌ 不可 | 乗り換え先での審査は必要 |
境目は「同じ債権かどうか」です。A社への請求書をX社に、B社への請求書をY社に譲渡するのは、まったく問題ありません。
他社を使っていることは知られるのか
検索でもよく見かける疑問です。順に整理します。
申し込み先の会社に知られるか
審査の過程で他社利用の状況を聞かれることがあります。通帳の入出金明細を提出するため、他社からの入金や他社への送金が記録に残っていれば、そこから把握されることもあります。
ただし、知られること自体は不利ではありません。隠して発覚するほうが問題です。聞かれたら正直に答えてください。誠実な申告は審査でマイナスに働きません。
売掛先に知られるか
2社間ファクタリングであれば、売掛先への通知は行われません。ただし債権譲渡登記を求められた場合、登記は誰でも閲覧できる状態になります。
売掛先が調べれば把握できるということです。売掛先に知られたくない場合は、登記の要否を契約前に確認してください。
二重譲渡は必ず発覚する
同一債権の二重譲渡は、債権譲渡登記の照会や、売掛先への確認によって判明します。売掛先は1つの請求に対して1回しか支払わないため、複数社が同じ債権の回収に動けば必ず表面化します。
二重譲渡がなぜ厳禁なのか
同じ売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡する行為を二重譲渡といいます。
すでに売却した債権は自分のものではありません。それを別の会社にも売ることは、他人の財産を処分する行為にあたります。
詐欺罪や横領罪に問われる可能性があります。業務上横領罪(刑法第253条)の法定刑は10年以下の拘禁刑です。
※2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。
【民事上のリスク】
・契約違反として買戻しや損害賠償を請求される
・以後、その会社およびグループ会社との取引ができなくなる
・売掛先との信用関係が壊れる
実際に困るのは民事のほうです。刑事事件に至らなくても、買戻し請求を受ければ資金繰りはかえって悪化します。売掛先に事情が伝われば、取引そのものを失う可能性もあります。
何社まで併用できるのか
明確な上限はありません。ただし、社数が増えるほど管理が難しくなります。
判断すべきは社数ではなく、「どの債権をどこに譲渡したか」を自分で把握できているかです。2社でも管理できていなければ危険ですし、把握できているなら3社でも4社でも問題は起きません。
・売掛先の名称
・入金予定日
・譲渡したファクタリング会社名
・契約日と入金日
・2社間の場合、売掛先からの入金をいつファクタリング会社へ送金したか
表計算ソフトで一覧にしておけば十分です。譲渡済みの債権に色を付けておくと、二重譲渡の事故を防げます。
もう1つ、審査の観点があります。複数社を同時に利用している状態は、資金繰りが厳しいシグナルとして見られることがあります。乗り換え先の審査で不利に働く可能性は理解しておいてください。
恒常的に足りないのであれば、資金化を繰り返すより支払いサイトの短縮交渉や、日本政策金融公庫、マル経融資といった低コストの手段への切り替えを検討したほうが健全です。所要運転資金を計算して、不足額の実体を把握してください。
乗り換えで得られるもの
① 手数料を下げられる可能性がある
乗り換えの理由として最も多いのがこれです。手数料は会社ごとに異なり、目安は2社間で8%から18%程度、3社間で1%から9%程度です。同じ売掛金でも、契約方式と会社の評価によってこの幅の中で変わります。
500万円の売掛金なら、8%と18%では50万円の差になります。手数料が何で決まるかはファクタリングの手数料の相場にまとめています。
② 諸経費を減らせる
手数料率だけでなく、周辺の費用も会社によって差が出ます。
| 費用 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 債権譲渡登記費用 | 登録免許税7,500円+司法書士報酬 | 登記を留保する会社もある |
| 事務手数料・審査料 | 数千円から数万円 | 無料の会社も多い |
| 印紙代 | 契約金額による | 電子契約なら不要 |
| 振込手数料 | 数百円 | 入金額から差し引かれる場合がある |
| 出張費・交通費 | 実費 | 対面契約の会社の場合 |
1つでも支払っているものがあれば、乗り換えで削れる可能性があります。比較は手数料率ではなく、諸経費を差し引いた後の入金額で行ってください。条件の揃え方はファクタリングの相見積もりにまとめています。
③ 手続きの負担を減らせる
来店や郵送が必要な会社から、オンライン完結の会社へ移ると、移動時間と印紙代がなくなります。来店不要のファクタリング会社も参考にしてください。
④ 担当者を変えられる
審査のスピードや相談のしやすさは担当者によって差が出ます。会社の条件そのものに不満がなくても、これを理由に乗り換える例はあります。
乗り換え先を選ぶときの確認点
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 他社利用中の申し込みを受け付けているか | 明示している会社を選ぶと話が早い |
| 諸経費を含めた総額 | 率だけでは比較にならない |
| 債権譲渡登記の要否 | 登記を留保する会社なら費用が減る |
| 償還請求権の有無 | 買戻し義務がある契約は実質的な貸付にあたる可能性がある |
| 買取可能額の下限と上限 | いまの債権の金額に合うか |
| 入金までの時間 | 希望日に間に合うか |
「他社利用中OK」と明示している会社は、審査でその点をマイナスに扱わない方針だと読めます。問い合わせの最初に「現在他社を利用中ですが申し込めますか」と聞けば、その場で判別できます。
償還請求権については手形割引との違いで詳しく扱っています。契約書に「償還請求権」「買戻し」の語がないか確認してください。
乗り換えの手順
| ステップ | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. 現在の条件を整理 | 手数料率、諸経費、入金までの日数を書き出す | 比較の基準になる |
| 2. 契約書を確認 | 解約条件、登記の有無、償還請求権 | 違約金の定めがあるか |
| 3. 複数社に見積もりを依頼 | 同じ請求書・同じ条件で2〜3社 | 条件を揃えないと比較にならない |
| 4. 差し引き後の入金額で比較 | 諸経費を含めた総額で並べる | 率だけで判断しない |
| 5. 新しい会社と契約 | 譲渡済み債権と混同しないよう確認 | 二重譲渡を避ける |
| 6. 記録を更新 | どの債権をどこに譲渡したか | 一覧に反映する |
一般的なファクタリング契約に解約違約金はほとんど設定されていません。都度契約が基本のため、次の債権から別の会社を使うだけで実質的に乗り換えが完了します。
ただし債権譲渡登記を行っている場合、抹消登記の費用が発生することがあります。契約書の解約条件を事前に確認してください。
急いでいる場合は、即日ファクタリングの時間割を見て、比較する余地があるかを先に判断してください。必要書類はファクタリングの必要書類と注意点にまとめています。
条件別の探し方
乗り換え先を探すときは、いま不満に感じている点から絞ると早く見つかります。
| いまの不満 | 参考記事 |
|---|---|
| 手数料が高い | ファクタリングの手数料の相場 |
| 複数社を比べたい | ファクタリングの相見積もり |
| 入金が遅い | 即日ファクタリング |
| 来店や面談が負担 | オンライン完結のファクタリング / 来店不要のファクタリング会社 |
| 土日に動きたい | ファクタリングの土日・祝日・24時間対応 |
| 金額が合わない | ファクタリングの金額別ガイド / 少額でも即日で資金調達 |
| 個人事業主として使いたい | 個人事業主向けおすすめのファクタリング会社 / フリーランスのファクタリング |
| 建設業・運送業で使いたい | 建設業のファクタリング / 運送業のファクタリング |
よくある質問
他社ファクタリング利用中でも別の会社に申し込めますか
申し込めます。他社利用中であること自体に法的な問題はありません。審査の際に利用状況を確認されることがありますが、正直に答えて問題ありません。隠して発覚するほうが不利になります。
複数の会社を利用しているとバレますか
通帳の入出金明細から把握されることがあります。ただし異なる売掛債権をそれぞれ別の会社に譲渡している限り、問題はありません。同一債権の二重譲渡は債権譲渡登記の照会や売掛先への確認で必ず発覚します。
二重譲渡するとどうなりますか
詐欺罪や横領罪に問われる可能性があります。業務上横領罪(刑法第253条)の法定刑は10年以下の拘禁刑です。刑事事件に至らなくても、契約違反として買戻しや損害賠償を請求され、以後その会社との取引ができなくなります。
何社まで併用できますか
制度上の上限はありません。判断すべきは社数ではなく、どの債権をどこに譲渡したかを管理できているかです。ただし複数社を同時に利用している状態は、審査で資金繰りの厳しさとして見られることがあります。
乗り換えに違約金はかかりますか
一般的なファクタリング契約に解約違約金はほとんど設定されていません。都度契約が基本のため、次の債権から別の会社を使うだけで乗り換えが完了します。ただし債権譲渡登記を行っている場合、抹消登記の費用が発生することがあります。
いまより手数料が安い会社を見つけるには
同じ請求書、同じ入金予定日、同じ希望入金日、同じ契約方式で2〜3社に見積もりを依頼してください。条件を揃えないと比較になりません。利用実績がある場合は、その実績を伝えることで条件が変わることもあります。
他社利用中でも即日で乗り換えできますか
即日対応の会社であれば可能です。ただし書類が揃っていて午前中に申し込むことが前提になります。入金は銀行の営業時間に依存するため、15時を過ぎると翌営業日です。
いまの会社に乗り換えを伝える必要はありますか
都度契約であれば、次の債権を持ち込まないだけで完了します。継続的な契約を結んでいる場合は、契約書の解約条件を確認してください。債権譲渡登記が残っている場合は、抹消の手続きについて確認が必要です。





