ファクタリング会社は数多くありますが、同じ請求書を持ち込んでも提示される条件は一律ではありません。売掛先の評価、買取金額、入金予定日までの期間の見方が会社ごとに違うためです。
それでも実際には、1社に申し込んでそのまま契約するケースが少なくありません。急いでいるほど比較の余裕がなくなるためです。
この記事では、相見積もりで何を揃えるべきか、何を比べるべきかを整理します。あわせて一括見積もりサービスの使いどころも扱います。

1社だけで決めるとどれくらい変わるのか
手数料の目安は2社間で8%から18%程度、3社間で1%から9%程度です。同じ売掛金でも、契約方式と会社の評価によってこの幅の中で変わります。
| 売掛金 | 手数料 | 諸経費 | 差し引き後の入金額 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 8% | 0円 | 460万円 |
| 500万円 | 12% | 3万円 | 437万円 |
| 500万円 | 18% | 5万円 | 405万円 |
| 500万円 | 3%(3社間) | 3万円 | 482万円 |
同じ500万円の請求書で、最大77万円の差になります。率で見ると数パーセントの違いですが、金額に直すと無視できません。
手数料が何で決まるかはファクタリングの手数料の相場にまとめています。自分で動かせるのは契約方式と、どの請求書を出すかです。
相見積もりで揃える5つの条件
複数社に依頼するとき、条件がずれていると比較になりません。次の5つを同じにしてください。
金額が変われば手数料率も変わります。複数の請求書を持っている場合も、比較用には1枚に固定してください。
② 同じ売掛先
売掛先の信用力が評価の中心です。売掛先が違えば条件も変わります。
③ 同じ入金予定日
期日までの期間が長いほど手数料は上がります。
④ 同じ希望入金日
「今日中」と「来週」では提示される条件が変わります。
⑤ 同じ契約方式
2社間と3社間を混ぜると、手数料の差が契約方式の差なのか会社の差なのか分からなくなります。
この5つを伝えたうえで、「差し引き後にいくら振り込まれますか」と聞いてください。手数料率だけを聞くと、諸経費が見えません。
比較するのは率ではなく入金額
見積もりが出そろったら、次の項目を並べます。
| 確認項目 | なぜ見るか |
|---|---|
| 差し引き後の入金額 | 最終的に手元に残る金額。これが判断の中心 |
| 手数料率 | 入金額の内訳を理解するため |
| 事務手数料・審査料 | 会社によって有無が分かれる |
| 債権譲渡登記の費用 | 司法書士報酬と登録免許税。2社間で求められることがある |
| 印紙代 | 電子契約なら不要 |
| 振込手数料 | 入金時に差し引かれる場合がある |
| 償還請求権の有無 | 売掛先が支払わなかったときに返済義務が生じるか |
| 入金までの時間 | 希望日に間に合うか |
率が低くても諸経費が多ければ、手元に残る金額は逆転します。特に債権譲渡登記が必要な会社とそうでない会社では、数万円から十数万円の差が出ます。登記の要否は債権譲渡の対抗要件で扱っています。
償還請求権の有無は金額の話ではありませんが、必ず確認してください。売掛先が支払わなければ利用者が返済する契約は、実質的な貸付にあたる可能性があります。詳しくは手形割引との違いをご覧ください。
自分で複数社に依頼する場合の手順
| ステップ | やること | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 1. 書類を揃える | 請求書、通帳の入出金明細、本人確認書類 | 30分〜 |
| 2. 候補を絞る | 条件(少額対応、オンライン完結など)で3社程度 | 30分〜 |
| 3. 各社に問い合わせ | 5条件を伝えて見積もりを依頼 | 1社あたり10〜20分 |
| 4. 書類を提出 | 会社ごとに同じ書類をアップロード | 1社あたり10分〜 |
| 5. 見積もりを比較 | 差し引き後の入金額で並べる | 結果が出そろうまで数時間〜 |
3社に依頼すると、問い合わせと書類提出だけで1時間から1時間半かかります。当日中の入金を目指す場合、午前中にこれを終える必要があります。即日ファクタリングの時間割を見ると、逆算の厳しさが分かります。
必要書類はファクタリングの必要書類と注意点にまとめています。会社ごとに求めるものが少しずつ違うため、決算書や納税証明書まで求められると時間が延びます。
一括見積もりサービスという選択肢
1回の入力で複数社に見積もりを依頼できるサービスがあります。個別に連絡する手間を省ける仕組みです。
法人向けでは¥Today(エントゥデイ)があります。1回の申し込みで最大3社に一括依頼でき、申し込みから契約、入金までオンラインで完結します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 法人のみ(個人事業主・フリーランスは対象外) |
| 依頼できる社数 | 最大3社 |
| 必要書類 | 請求書(または注文書)と銀行通帳の2点 |
| 入金までの期間 | 契約から最短30分 |
| 利用料金 | 無料(紹介料・仲介料なし) |
| 対応債権 | 請求書、注文書 |
| 手続き | オンライン完結 |
一括見積もりサービス自体の利用は無料です。実際の手数料は、契約する相手のファクタリング会社との取引内容で決まります。
なお、給与を対象とする取引は対象外です。事業者間の売掛債権が前提になります。
一括見積もりが向いている場合
| 内容 | |
|---|---|
| 向いている | 比較したいが個別に連絡する時間がない |
| どの会社が自社の売掛金に合うか見当がつかない | |
| 法人で、請求書または注文書を持っている | |
| 条件を揃えた比較を確実にしたい | |
| 向いていない | 個人事業主・フリーランス(対象外) |
| すでに使いたい会社が決まっている | |
| 3社間契約で交渉したい | |
| 複数社から連絡が来るのを避けたい |
一括見積もりでは複数社から連絡が入ります。電話やメールでのやり取りが同時に発生するため、対応する時間は確保しておいてください。連絡を最小限にしたい場合は、オンライン完結型を1社に絞って申し込むほうが静かに進みます。
相見積もりで注意しておきたいこと
見積もりと契約は別
複数社に見積もりを依頼すること自体に問題はありません。契約前の段階なので、条件を聞いて断ることもできます。
ただし同じ売掛金を複数社に売却することはできません。二重譲渡にあたり、契約違反になります。見積もりを取るのは自由ですが、契約は1社だけです。他社利用中でも乗り換え・併用できるかで、複数利用の考え方を整理しています。
急いでいるときほど比較が抜ける
今日中に資金が必要という状況では、最初に返答が来た1社で決めてしまいがちです。それ自体は現実的な判断ですが、相場から大きく外れた提示を受け入れてしまうリスクがあります。
目安として、2社間で20%を大きく超える手数料が提示された場合は、いったん保留して別の会社にも聞いてください。
見積もりの有効期限
提示された条件には期限があります。売掛金の入金予定日が近づくほど条件は変わるため、見積もりを取ってから時間を置くと、同じ条件では契約できないことがあります。
審査前に費用を求められたら断る
見積もりの段階で保証金や手数料の前払いを求める業者は避けてください。ファクタリングは債権の売買であり、審査前に費用が発生する取引ではありません。
業種別・条件別に絞ってから比較する
やみくもに複数社へ依頼するより、条件で候補を絞ってから比較するほうが効率的です。
| こういう場合 | 参考記事 |
|---|---|
| 少額の請求書で相談したい | 少額でも即日で資金調達に対応するファクタリング会社の選び方 |
| 金額が大きい/小さい | ファクタリングの金額別ガイド |
| 来店せずに完結させたい | オンライン完結のファクタリング / 来店不要のファクタリング会社 |
| 土日・祝日に申し込みたい | ファクタリングの土日・祝日・24時間対応 |
| 個人事業主・フリーランス | 個人事業主向けおすすめのファクタリング会社 / フリーランスのファクタリング |
| 建設業・運送業で使いたい | 建設業のファクタリング / 運送業のファクタリング |
地域ごとの制度融資や信用保証協会の情報は地域別ファクタリング会社一覧から確認できます。急ぎでないなら、公的な制度のほうが調達コストは低く済みます。
よくある質問
何社くらいに見積もりを依頼すればよいですか
3社程度が目安です。それ以上になると、条件を揃えて管理する手間が増え、比較そのものが負担になります。社数より、条件を揃えることのほうが結果に効きます。
複数社に同時に申し込んでも問題ありませんか
見積もりの依頼であれば問題ありません。契約前の段階なので、条件を聞いて断ることもできます。ただし同じ売掛金を複数社に売却することはできません。二重譲渡にあたり契約違反になります。
見積もりを取ると審査に不利になりますか
見積もり自体が不利に働くことはありません。ただし契約に至らなかった履歴が各社に残るわけではないため、その点を気にする必要もありません。
一括見積もりサービスは有料ですか
¥Todayの一括見積もりは無料です。紹介料や仲介料はかかりません。実際の手数料は、契約するファクタリング会社との取引内容によって決まります。
個人事業主でも一括見積もりを使えますか
¥Todayは法人専用のため、個人事業主やフリーランスは対象外です。個人事業主の場合は、個別に対応している会社へ申し込む形になります。
見積もりを断ることはできますか
できます。契約書に署名するまでは契約は成立していません。条件が合わなければ断って構いません。断った際に費用を請求されることもありません。
手数料率が一番低い会社を選べばよいですか
率だけでは判断できません。事務手数料、債権譲渡登記の費用、印紙代、振込手数料を含めた差し引き後の入金額で比べてください。率が低くても諸経費が多ければ逆転します。
急いでいて比較する時間がありません
一括見積もりを使えば1回の入力で複数社に依頼できます。それも難しい場合は、最低限「償還請求権の有無」と「差し引き後の入金額」の2点だけは確認してください。
見積もりを比較して選ぶ
個別に申し込みたい場合は、以下の会社も候補になります。





