期日現金とは?【2026年版】手形・通常振込との違いと取適法での位置づけを解説

✅ この記事の結論【2026年版】
期日現金とは、手形を使わずにあらかじめ決めた期日に現金で振り込む支払方法です。通常の振込との違いは、支払いまでの期間を手形と同じくらい長く設定する点にあります。受け取る側から見ると、手形のように割り引いて早期資金化する手段がないのが最大の問題です。2026年1月施行の取適法で手形払いが原則禁止となり、期日現金への切り替えが進んでいます。売掛金として存在するため、ファクタリングの対象にはなります。

「今後は手形をやめて期日現金にします」と取引先から言われたとき、条件が良くなったのか悪くなったのか、すぐには判断がつきません。

紙の手形がなくなるので事務は楽になります。ただし、入金までの期間が変わらないなら、資金繰りは改善しません。むしろ手形を割り引いて早期に資金化するという手段を失う分、選択肢が減ります。

この記事では、期日現金の仕組み、通常の振込や手形との違い、2026年からの法改正での位置づけ、そして受け取る側が取れる手段を整理します。

手形・期日現金・通常振込の入金までの日数と早期資金化の手段の比較
目次

期日現金とは

期日現金とは、支払企業が手形を振り出さず、あらかじめ取り決めた期日に現金(銀行振込)で支払う方法です。「期日現金払い」「期日払い」とも呼ばれます。

ポイントは支払いまでの期間です。通常の振込であれば締め日から30日程度で入金されますが、期日現金では手形と同じように60日、90日といった期間を置いてから支払われます。

つまり、手形という紙をなくしただけで、待たされる期間はそのまま残っている状態です。

通常の振込との違い

通常の振込期日現金
支払手段銀行振込銀行振込(同じ)
締め日から入金まで30日程度が一般的60日から90日などの長期設定
取り決め基本契約で定める基本契約で期日を明示して定める
受け取る側の会計処理売掛金売掛金(同じ)
早期資金化の手段ファクタリングファクタリング

手段としては同じ銀行振込なので、書類上の違いはありません。違うのは日数だけです。だからこそ、支払いサイトが何日に設定されているかを契約時に確認する必要があります。

手形との違い

項目約束手形期日現金
紙の証券ありなし
印紙税かかるかからない
事務負担振出、郵送、保管、取立が必要振込のみ
紛失・盗難リスクありなし
期日前の資金化手形割引が使える割引できない
受け取る側の会計処理受取手形売掛金
不渡り銀行取引停止処分の対象制度上の不渡りはない
支払期日手形サイトを設定期日を設定

受け取る側にとって最大の違いは、割引できないことです。

手形であれば、期日前でも銀行や手形割引業者に持ち込んで資金化できました。期日現金は証券が存在しないため、この手段がありません。事務は楽になる一方、資金繰りの選択肢は1つ減ります。

ただし不渡りという制度上の仕組みもないため、支払企業が支払わなかった場合の扱いは通常の債権回収と同じになります。手形なら銀行取引停止処分という強い制裁がありましたが、期日現金にはそれがありません。

2026年1月からの法改正での位置づけ

期日現金が増えている背景には、制度の変化があります。

2026年1月1日、下請法が改正され「中小受託取引適正化法(取適法)」として施行されました。名称の変更にとどまらず、支払手段のルールが大きく見直されています。

📄 取適法で変わった支払手段のルール
・手形払いが原則禁止
手形で支払うと、現金化までの期間の資金繰りを受注側が負担することになるため、支払手段として認められなくなりました。

・電子記録債権や一括決済方式にも制限
支払期日までに代金相当額の金銭(手数料等を含む満額)を得ることが困難なものは認められません。

・代金の支払期日は受領後60日以内
従来から定められていたルールです。手形が使えなくなったことで、この60日が実質的な上限になります。

従来は「支払日までの期間60日+手形サイト60日=現金受領まで120日」という運用が可能でした。手形が禁止されたことで、この上乗せができなくなります。

あわせて、紙の約束手形そのものも2026年度末(2027年3月末)までに実質廃止する方針が示されています。詳しくは手形割引とファクタリングの違いで扱っています。

ファクタリングを「支払手段」として使わせるのは禁止

取適法では、電子記録債権やファクタリングについても、受注者が支払期日までに満額を得ることが困難なものは認められないとされています。

これは、発注側が支払方法としてファクタリングを指定する場合の話です。「代金はファクタリングで現金化してほしい」と言われ、手数料を受注側が負担するような形は認められません。

受注者が自分の判断で、手元にある売掛金をファクタリング会社に売却することは、この規制の対象ではありません。両者は別の話なので、混同しないよう注意してください。

期日現金で困ったときに取れる手段

期日が60日、90日と設定されていて、その間の資金が足りない場合の選択肢です。

手段効く時間軸内容
ファクタリング最短即日売掛金を支払期日前に売却して資金化する
期日の短縮交渉数か月取適法では受領後60日以内が原則。基準として使える
日本政策金融公庫2週間から1か月低コストだが審査に時間がかかる
マル経融資1か月程度商工会議所の推薦が前提
当座貸越・手形貸付銀行との取引状況による融資枠がある場合

期日現金の債権は売掛金として存在するため、ファクタリングの対象になります。請求書と、期日が確認できる基本契約書または注文書があれば相談できます。

ただし期日までの期間が長いほど手数料は高くなります。90日先の入金予定と30日先の入金予定では、同じ金額でも提示される手数料が変わります。詳しくはファクタリングの手数料の相場を確認してください。

必要な書類はファクタリングの必要書類と注意点にまとめています。急ぎの場合は即日ファクタリングの時間割もあわせて確認してください。

期日現金の会計処理

受け取る側では、期日現金の債権は売掛金のまま処理します。手形を受け取った場合の「受取手形」とは異なります。

貸借対照表上は売掛金として計上され、期日に入金された時点で現金預金に振り替わります。特別な処理は必要ありません。

ただし、売掛金の残高が膨らみ続けるという副作用があります。売上債権回転期間が伸びていくため、金融機関から見たときに資金繰りが悪化しているように映ることがあります。

ファクタリングを利用した場合の仕訳はファクタリングの仕訳や勘定科目にまとめています。手数料は売上債権売却損などの科目で費用計上します。

業種による違い

期日現金が使われやすいのは、従来から手形の慣行があった業種です。建設業では元請からの支払いに手形が使われてきた経緯があり、期日現金への切り替えが進んでいます。

製造業や卸売業でも同様です。一方、運送業のように手形の慣行が薄い業種では、もともと月締めの現金振込が中心でした。

いずれの業種でも、期日までの日数を短くする交渉が本筋です。支払いサイトの記事で、日数の相場と交渉の材料を扱っています。

よくある質問

期日現金と通常の振込は何が違いますか

支払手段はどちらも銀行振込で同じです。違うのは支払いまでの期間で、期日現金では手形と同じように60日や90日といった長い期間が設定されます。通常の振込は締め日から30日程度が一般的です。

期日現金は手形より有利ですか

事務負担と印紙税の面では有利です。紙の証券を管理する必要がなく、紛失や盗難のリスクもありません。ただし期日前に割り引いて資金化する手段がないため、資金繰りの選択肢は減ります。入金までの日数が変わらないなら、資金繰りそのものは改善しません。

期日現金の債権もファクタリングできますか

できます。期日現金の債権は売掛金として存在するため、ファクタリングの対象になります。請求書と、期日が確認できる基本契約書または注文書を用意してください。ただし期日までの期間が長いほど手数料は高くなります。

取引先から期日現金への変更を打診されました。どう判断すればよいですか

期日までの日数を確認してください。手形サイトと同じ日数なら、事務が楽になるだけで資金繰りは変わりません。2026年1月施行の取適法では代金の支払期日は受領後60日以内が原則とされているため、これを基準に交渉できます。

期日現金で支払われなかった場合はどうなりますか

制度上の不渡りという仕組みはないため、通常の売掛金の未回収と同じ扱いになります。手形であれば銀行取引停止処分という制裁がありましたが、期日現金にはそれがありません。

期日現金は法律で禁止されていますか

禁止されていません。取適法で原則禁止となったのは手形払いです。期日現金は現金による支払いなので認められますが、支払期日は受領後60日以内という制限がかかります。

取引先からファクタリングで現金化するよう言われました

取適法では、電子記録債権やファクタリングについて、受注者が支払期日までに満額を得ることが困難なものは支払手段として認められないとされています。手数料を受注側が負担する形で指定されている場合は、取引先に確認してください。

期日現金の資金化を相談できるファクタリング会社

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